透析支援システムとは?

臨床工学技士のイラスト

今回は皆様があまり目にされる機会はありませんが、透析を行う上で大きな役割を担っている透析システムについてご説明します。

皆さんこんにちは。今回のテーマは、透析システム(正式には透析支援システム)とは何か?についてです。

透析システムとは

透析システムとは、患者さんの個人情報や透析中の状態を電子媒体で管理できるシステムのことです。今まで様々な紙に様々な記録を書いていましたが、システム内でデータの一元管理が可能となりました。
大変便利な透析システムですが、単にデータの一元管理ができていれば良いわけではなく様々な条件をクリアできていなければ成り立ちません。その条件の一部をご紹介させていただきます。

①故意または過失による虚偽入力、書き換え、消去が防止できること。

「真正性」のためのイラスト

記録したデータが自由に書き換えられてしまっては、データに信頼性が無くなってしまいます。そのため、入力したデータは誰がいつ入力したかわかるようになっています。これを「真正性」といいます。

②必要に応じて肉眼で容易に見読可能であること。
見読性の説明のためのイラスト

記録したデータが肉眼では見られないような字や画像で保存されていては、せっかく記録したデータも意味がありません。そのため、肉眼で容易に見て読むことができることが必要です。
これを「見読性」といいます。

③法令に定める保存期間内、復元可能な状態で保存できること。
保存性の説明の為のイラスト

記録したデータがどんどん上書きされてしまっては、過去のデータを見たいときに見ることができず、記録した意味がありません。そのため法令に定める規定期間において、データが見られる状態で保存できないといけません。これを「保存性」といいます。

「真正性」、「見読性」、「保存性」の3つの条件を「電子保存の三原則」と呼びます。
情報をデータで安全に管理するために必要な原則です。このような難しい条件をクリアしているからこそ、透析システムは皆様の大切な個人情報や治療情報を安心して保存・管理していけるのです。

透析システムについて

次に、厚済会で使用されている透析システムについてご紹介します。厚済会では2社の透析支援システムを導入しています。日機装社【Future Net Web+】(上大岡仁正クリニック・文庫じんクリニック)と、東レメディカル社【MiracleDIMCS UX®】(金沢クリニック・横浜じんせい病院)です。各システムはその施設のコンソールやセントラル装置といった透析関連装置と同メーカーのものを使用しており、高度な連携が可能となっています。今回はMiracleDIMCS UX®を例に、連携の一部をご紹介させていただきたいと思います。

①体重測定~治療開始までの連携
透析治療を行う前には、皆様に必ず体重測定をしていただいてます。体重測定から連携までの流れをご紹介します。
体重測定~治療開始までの連携イメージ

②コンソール入力によるリアルタイム共有
皆様が透析治療を行う際、コンソールで看護師や臨床工学技士が何か入力を行うと、その内容が全ての透析支援システムパソコンでリアルタイム共有できます。下の写真にあるように、○○さんが何時にどのような状態だったかがわかります。
この機能によって透析支援システムパソコンがある場所であれば、どこにいても最新の情報を確認することができ、情報共有漏れが発生しにくい状態を構築できます。
コンソール入力によるリアルタイム共有の図

まとめ。


いかがだったでしょうか? 簡単ではありますが、透析支援システムについてお伝えさせていただきました。少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。