【プレスリリース】日本人の血液透析患者では新型コロナワクチン接種後の 抗体価上昇が抑制 ―ピーク抗体価の上昇に寄与する因子は栄養状態と貧血の改善、ビタミンDの補充―

横浜市立大学大学院医学研究科 循環器・腎臓・高血圧内科学の金井大輔医師(大学院生)、田村功一主任教授、涌井広道准教授、横浜市立大学附属病院 次世代臨床研究センター(Y-NEXT)土師達也助教、感染制御部 加藤英明部長らは、医療法人社団 厚済会 大西俊正博士、山口聡博士、三橋洋医師、花岡正哲医師、花岡加那子氏らとの共同研究により、新型コロナウイルスワクチン(ファイザー社)接種後に獲得される抗スパイクタンパク抗体*1について、抗体価の経時的な推移を血液透析患者群と医療スタッフ群で比較しました。

その結果、血液透析患者群では、ワクチン2回目接種から1か月後(ピーク値)と6か月後の抗体価は医療スタッフ群に比べて有意に低値であり、透析患者ではワクチン接種後の抗体価上昇が抑制されることを明らかにしました。一方、抗体価の減衰速度には有意差が認められませんでした。さらに、血液透析患者のピーク抗体価を上昇させうる因子として、栄養状態の改善・貧血の改善・ビタミンDの補充があり、6か月後の抗体価の維持にはピーク抗体価の上昇が重要であることを明らかにしました。

*1 抗スパイクタンパク抗体:新型コロナウイルスの表面にはスパイクタンパク質が存在しており、ウイルスが体内の細胞に侵入する際に足掛かりとなる重要なタンパク質である。ウイルス表面のスパイクタンパク質に結合することで、スパイクタンパク質が体内の細胞に足掛かりを作るのを妨害して、ウイルスの体内への侵入を阻害する。ファイザー社やモデルナ社のワクチンの接種によって、抗スパイクタンパク抗体を獲得することができる。

※参考記事
【コロナワクチン抗体価の比較】透析治療中の患者さんと健常職員の比較