生活習慣病について知ろう
生活習慣病とは、偏った食生活や運動不足、喫煙、飲酒などの生活習慣の積み重ねにより引き起こされる病気です。代表的なものに糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、肥満、心臓病、脳卒中などがあります。
きちんと治療しましょう
腎臓は生活習慣病の影響を受けやすいので、生活習慣病をきちんと治療することが、腎臓病の予防・治療になるといっても過言ではありません。
糖尿病について
「国民病」と言われる糖尿病は、予備軍を入れると日本では約2,200万人いると推測されています。糖尿病とは、すい臓から出るインスリンというホルモンが減る、またはうまく働かないことにより、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)を下げることができなくなる病気です。カロリー摂取の多い食生活を続けることで、インスリンは上手くはたらかないようになることがわかっています。
インスリンと血糖値の関係
ブドウ糖は食べ物や飲み物が消化されてつくられており、本来は血液に乗って体の細胞に運ばれエネルギーとして使用されます。しかし、糖尿病になるとブドウ糖が細胞に運ばれず、血液の中で滞ってしまうのです。この状態を高血糖と言います。
インスリンが正常にはたらくと・・・ | |
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インスリンがはたらかないと・・・ |
高血糖の状態が続くと血管が硬く、細くなるなどのダメージを受けるため、神経障害、網膜症、腎症などを引き起こします。
糖尿病と腎臓病の関係
糖尿病から引き起こされた血管障害により、腎症が発症します。まず腎臓内の障害された毛細血管よりタンパクが漏れ出し、タンパク尿が出るようになります。それがさらに腎臓のろ過機能を障害します。尿が出にくくなり、老廃物が徐々にからだにたまり尿毒症へと進行します。
糖尿病は自覚症状のないまま進行するので、症状に気付いたころにはかなり進んでいることが少なくありません。できるだけ早期に発見するためには、定期的に血液や尿の検査を受けることが重要です。
糖尿病にならないために(予防)
食事について
以下の注意点に気を付け、食べ過ぎないことと、栄養のバランスをとることが大切です。腎臓病の方は医師の指導に従ってください。
- 甘いものや脂っぽいものを食べ過ぎない
- 野菜をたっぷりとる
- なるべく決まった時間にゆっくり食べる(まとめ食いをしない)
- 薄味にする
- 食品のエネルギー(カロリー量)を知り、とり過ぎないように気を付ける
運動について
特別な運動をしなくても、日々のちょっとした工夫が予防につながります。以下のようにこまめな運動を心がけましょう。疾患のある方は医師の指導に従ってください。
- いつもより少し速めに歩く
- 少し遠回りして歩く距離を増やす
- エスカレータやエレベータではなく、なるべく階段を使う
- 1日1万歩を目標に歩く
- テレビを見ながらストレッチをする
- 泳げなくても水中を歩く
糖尿病になってしまったら(治療)
糖尿病と診断されても、初期は自覚症状があまり出ないために放置されがちです。しかし、そのままにしておくと神経障害、網膜症、腎症などの合併症を引き起こしてしまいます。糖尿病と診断されたらきちんと治療することが重要です。
糖尿病の治療には、食事療法と運動療法、薬物療法があります。血糖値をコントロールすることを目的としています。血糖値をコントロールしましょう
食事療法
活動量に見合った適切な分量※で、必要とするすべての栄養素がとれるように工夫します。適切なエネルギー摂取量にすると、血糖コントロールがスムーズに行えます。食事をとる時間を規則正しくすることも血糖値を安定させるためには重要です。食事が乱れると、ほかの治療の効果が下がってしまうほど食事療法はとても大切です。
※1日に食べて良い適切な分量は、一人ひとり違います。医者の指示に従ってください。
運動療法
急に激しい運動をすると体に負担がかかり良くありません、また運動量が足りないと効果がないため、医師の指導に従って自分に合った運動メニューをつくりましょう。
基本的には以下のようになります。
- 一人でできる運動を毎日行う
- きつすぎず、楽すぎない程度の運動にする
- 準備体操、整理体操を行う
- 食後1~2時間後に行う(食後の血糖値の上昇が抑えられます)
- 運動日誌をつける(運動習慣を身に付け過度な運動によって体調が悪くなることを防ぐために役立ちます)
なお、以下の場合は、運動療法を禁止あるいは制限する必要があります。必ず医師の指示に従ってください。
- 糖尿病の血糖コントロールが極端に悪い場合
- 増殖網膜症によって新しい眼底出血を起こしている場合
- 糖尿病腎症が重症の場合
- 糖尿病性自律神経障害がある場合
- 心肺機能に障害がある場合