【透析機器】水処理装置の構造はどうなっているの?

水処理装置

今回は、透析液がどのように綺麗にされているのか、また臨床工学技士による透析液を作るうえで欠かせない透析用水についてお話したいと思います。
透析は1回あたり約120~150Lもの透析液を使用しています。血液と間接的に触れ合うので、透析液は綺麗でなければなりません。その為、右の図のように多くのフィルタや装置を通り、不純物や菌などを除去し綺麗な水を作っています。

右の図の装置全てを水処理装置と言います。水処理装置を保守管理するのも私たち臨床工学技士の業務になります。水処理装置を通った綺麗な水をRO水と呼びます。このRO水と透析剤を混ぜることで透析液は完成します。その後、臨床工学技士による徹底的な衛生管理・品質管理が行われ、実際に皆様に使用していただく透析液になるのです。

水処理装置の中身

水処理装置には前出の図にもあるように以下のフィルタ・工程があります。

・プレフィルタ…装置に入った水道水が最初に通るフィルタです。10~30μmの穴が複数開いており、その穴より大きな物質を除去します。
臨床工学技士はこのフィルタの前後の圧力を確認してフィルタが目詰まりしていないか確認をします。

・軟水化装置…日本の水道水は軟水ですが、水道水の中にはMgやCaが含まれています。これらが水の中に多いと塩素と合わさって塩化ナトリウムや塩化カルシウムになります。これらは、他のフィルタを詰まらせる原因となる為、軟水化装置でMgやCaを取り除きます。
臨床工学技士は専用のキットを使って、しっかり軟水化されているかを毎週確認しています。

・活性炭濾過装置…残留塩素、クロラミン(NH2Cl)、有機物を吸着します。水処理装置の中で、塩素を除去できるのは活性炭濾過装置だけです
臨床工学技士はこの装置で除去する残留塩素が装置の後に残っていないかを専用の試薬で検査しています。

※RO装置…塩素以外の物質をほぼ全て除去できる装置です。
※限外濾過フィルタ…水処理装置の一番最後に設置されているフィルタで、エンドトキシンカットフィルタとも呼ばれます。エンドトキシンや細菌など全ての物質を除去します。