【素人でも分かる】痩せないようにドライウエイトを管理するコツ

透析治療を続けている間に体が痩せてしまうこともある

患者さんは透析治療の度に体重を測定し、体重増加の管理を行いながら生活を送っています。そのため、患者さんの中には「今週は体重が増え過ぎたから食事を1食抜いてきたよ」といった話をされる方も度々見受けられます。確かに、食べる量を減らしてしまえば体重の増加も抑えられる訳ですが、食べる量を減らしてしまうことは「栄養摂取量の減少」につながるため、これを続けていると体がどんどん痩せていってしまうことになります。

透析治療中の患者さんにとって「体が痩せる」とは?

人間は栄養摂取量が減少すると、脂肪量や筋肉量が減少して体重が減少します。これは一般的な意味で「痩せた」という状態です。腎臓の機能が正常な人の場合は、痩せることで脂肪量・筋肉量が減少してしまっても腎臓が体の水分バランス(水分約60%:固形成分約40%)を自動的に調整してくれます。

しかし透析治療中の患者さんは、ドライウエイトを人為的に設定し、除水を行っています。そのため、体が痩せてしまったことに対し、ドライウエイトの数値を下げるという変更を行わないと、体の水分バランスが崩れ、水分量が多過ぎる状態になってしまいます。この状態を改善するためには、ドライウエイトの設定体重を下げ、余計な水分を除去する必要があるのです。患者さんからは「また先生に体重を下げられてしまったけど、どんどん痩せてしまうので体重を下げたくない」と言った声も聞かれますが、ドライウエイトの再設定は水分量を調節するためなので、必要なことと言えます。

先生がドライウエイトを下げたから体が痩せてしまうのではなく、体が痩せてしまったから先生はドライウエイトを下げているのです。先生は痩せてしまった体に合う新しいドライウエイトを再設定しています。ドライウエイトを下げなくとも、すでに痩せてしまった体が元に戻る訳ではありません。ここで重要なことは「体が痩せないようにしながら透析治療を行う」ということなのです。

こちらの図をご覧ください。
体の大きさがドライウエイト、青が水分、白が固形成分です。

左はドライウエイトの設定が合っていないため水分量が多過ぎる状態になっています。
右のようにドライウエイトを下げて体を小さくして除水を進めることで、体内の水分バランスを改善します。