【臨床工学技士通信】ダイアライザーの歴史

はじめに

血液浄化療法の歴史は今から100年程前から始まり、少しずつ現代の方法へと進歩していきました。その中でもダイアライザーは100年前と比べると大きく変わっていきました。
人工腎臓(ダイアライザー)は1913年から研究が始まりました。人体に初めて使用したのは1926年急性腎不全患者となり、何例か使用しましたが生存者は0でした。それには幾つもの問題点や課題が挙げられました。以後100年ほど、急性腎不全患者を救うべくダイアライザーの開発が進んでいきます。

1914年

アベルにより、始めて人工腎臓(ダイアライザー)が開発されました。当時の人工腎臓は直径8mm長さ40cmのコロジオンチューブを32本のガラスで分配管につないだ簡易的なものでした。動物実験でのみ使用しており、まだ人体には使用されていませんでした。

1913年~1937年

抗凝固剤の問題
坑凝固剤は今日に使われているヘパリンではなく、ヒルから抽出されるヒルジンといわれる物質が使用されていました。ヒルジンは今では臨床でも使用されていますが、当時は清浄化が困難であり、アレルギー反応を起こす人が絶えませんでした。このころは抗凝固剤に関しても使用が困難であり血液浄化療法を行うにあたっての問題が絶えませんでした。

1938~1945年

コルフにより回転ドラム式コイル型ダイアライザーが開発されました。はじめて臨床で救命に成功したダイアライザーです。形はドラムのように大型で持ち運びが困難でした。またディスポーザブル(使い捨て)ではなく、使用後毎に洗浄・消毒・滅菌が必要で手間もコストも莫大にかかっていました。透析効率も今と比べると非常に低く、6時間以上かけて治療が行われていました。