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コラム_透析生活の注意点

透析生活の注意点について知ろう

合併症を防ぎ良好な体調を保つためには、透析患者様ご自身もある程度の知識を得ておく必要があります。こちらのページでは、透析治療中の生活の注意点と、検査データの見方についてご説明します。

透析中に気を付けたいことについてもっと詳しくみてみましょう。

透析生活の注意点

食事療法のポイントや、透析中に起こる可能性のある症状、服薬やシャント管理についてご説明します。

食事について

透析治療が開始されると尿量が急速に減少し、体内に水分が溜まります。そのため、尿量に合わせて水分の制限が必要です。また、水分の制限をするためには、塩分の制限も必要となります。

食事療法のポイントは、たんぱく質をきちんととることと、カリウムとリンのとりすぎに注意することです。カリウムが高くなると、生命に関わる不整脈が起きるので注意が必要です。

透析中の症状や合併症などについて

透析を行っているとさまざまな症状が出たり、合併症を引き起こしたりすることがあります。 何かあった場合でも落ち着いて対処するため、また合併症を予防するためにも、あらかじめどのような症状や合併症が起こる可能性があるのか知っておくことが大切です。

服薬について

腎臓は薬の排泄にも関わっています。薬によっては腎臓では排泄が上手くいかず、成分が体内に溜まってしまい悪影響を及ぼすことがあります。薬を飲むときには必ず事前に医師に相談してからにしましょう。

シャントについて

血液透析を行う上でシャントを適切に管理することは非常に重要です。シャントにトラブルが生じると透析ができなくなります。以下の点に注意し、大切に扱いましょう。

  • シャントのある腕に重いものをぶら下げない(買い物袋など)
  • シャントのある腕で手枕をしない
  • シャントのある腕を腕時計・包帯・サポーターなどで締め付けない
  • シャントのある腕で血圧測定をしない
  • シャント周囲をぶつけない
  • シャント周囲をひっかかない
  • シャントのある腕をいつも清潔にしておく
  • 透析当日の入浴はしない
  • 透析後のカットバンは翌日までにはずす
  • シャントの血流を確認する習慣を付ける(シャント部分に耳や聴診器を当ててシャント音を聞いたり、指で軽く触れてみましょう)

また、シャントに以下のような異常を感じたときはすぐにご連絡ください。

  • 痛みがある
  • シャントの拍動がない、シャント音がしない
  • 赤く腫れる、熱感がある、膿がでる
  • 出血した(すぐに押さえて止血し、消毒しましょう)

 

透析中の検査データの見方

透析の効果や合併症が起きていないかなどを確認するために、さまざまな検査が定期的に行われます。検査結果によっては、食事や生活習慣の見直しが必要なこともあります。何のための検査なのか、検査データからどのようなことがわかるのか、患者様自身も理解しておくことが大切です。

(1)透析効率をみる検査:充分な透析を受けられているか

・尿素窒素(BUN)
・クレアチニン(CRE)
・尿酸(UA)データの見方はこちら
(2)電解質に関する検査:体液のイオンバランスをみています。
・ナトリウム(Na)
・クロール(CL)
・カリウム(K)データの見方はこちら
(3)骨代謝異常に関する検査
・カルシウム(Ca)
・リン(P)
・インタクトPTH(i-PTH)データの見方はこちら
(4)貧血、栄養状態に関する検査
・赤血球(RBC)
・血色素ヘモグロビン(Hb)
・ヘマトクリット(Ht)
・白血球(W,WBC)
・血小板(PLT)
・総鉄結合能
・フェリチン
・アルブミン(Alb)データの見方はこちら
(5)肝臓に関する検査
・AST(GOT)
・ALT(GPT)
・γ-GTP
・アルカリホスファターゼ(ALP)
・HBs抗原
・HCV抗体データの見方はこちら
(6)そのほかの検査
・β2-ミクログロブリン(β2-MG)
・血糖値
・総コレステロール(T-Cho)
・心胸比(CTR)データの見方はこちら
(1)透析効率をみる検査

十分な透析治療ができているかを確認する検査です。

尿素窒素(BUN)
【解説】
たんぱく質がエネルギーとして体内で燃やされたあとに残るカスです。
高値の場合:
透析時間の不足、シャントの状態が悪く血液流量が少ない。たんぱく質の過剰摂取など。
低値の場合:
たんぱく質の摂取不足。
注意したいこと:
尿素窒素の数値が上がり、なおかつ筋肉が落ちたり、やせてきた場合は、食事が充分でないために筋肉を構成しているたんぱく質がエネルギー源として使われていることが考えられます。体の中のたんぱく質は本来新しい細胞(体の部品)をつくるために必要なので、食事からしっかり栄養を摂ることが重要です。
【参考値】
透析前:80mg/dL以下
透析後:30mg/dL以下
(個人差もあるため目標とする値は医師とご相談ください)
クレアチニン(CRE)
【解説】
筋肉の代謝産物です。筋肉の豊富な方ほど高く、体格や運動量による個人差があるので、自分の基準値を知っておくことが大切です。食事には関与しないため、透析効率をみるための良い指標になります。
【参考値】
透析後:透析前の半分程度個人差があります。
尿酸(UA)
【解説】
尿酸はプリン体が分解してできた老廃物です。透析効率をみるために補助的に使用されます。
高値の場合:
痛風の原因となります。 腎臓の病気、白血病、降圧剤などの影響。 プリン体を多く含む食品・牛乳や牛肉の過剰摂取。 慢性的に高いと、動脈硬化を起こす危険性があります。
【参考値】
一般成人正常値:6mg/dL以下
(2)電解質に関する検査

主に体液のイオンバランスを確認する検査です。

ナトリウム(Na)
【解説】
体液の浸透圧の維持、筋肉や神経の働きに関係しています。腎臓が悪くなるとナトリウムを排泄できなくなり、数値が上がります。
高値の場合:
塩分のとりすぎ、または脱水。脱水は水分が抜けてナトリウムだけが残っている状態です。
低値の場合:
食事を摂れない。水のとりすぎ。
【参考値】
一般成人正常値:
135~150mEq/L
クロール(CL)
【解説】
主にNaCl(食塩)として摂取され、体液のバランス維持の役割を果たしています。 血液が酸性に傾くと上昇します。
高値の場合:
嘔吐・下痢などで大量の水分を失った場合。食塩の摂りすぎなど。
低値の場合:
水分の過剰摂取や食塩の摂取不足など。
【参考値】
一般成人正常値:
98~108mEq/L
カリウム(K)
【解説】
ナトリウムの排泄を促す働きがあります。細胞の中にも元々含まれています。
高値の場合:
野菜や果物などカリウムの摂りすぎ。透析不足。細胞が壊れた場合や薬剤によっても上がることがあります。
低値の場合:
たんぱく質の摂取不足。
注意したいこと:
7.5~8mEq/L以上になるとと死に至る不整脈を起こすことがあり、大変危険です。食生活に注意しましょう。
【参考値】
透析前の目標値:
5.5mEq/L以下
透析後の目標値:
3~3.5mEq/L
(3)骨代謝異常に関する検査
カルシウム(Ca)
【解説】
骨のもとになる物質です。低い状態が続くと骨がもろくなり、高い状態が続くと骨以外のところにカルシウムの沈着が起こります。
注意したいこと:
カルシウムは検査データにより、薬剤で適正な値にコントロールする必要があります。自己判断でカルシウムの多い食べ物やサプリメントなどをとるのは避けてください。カルシウムを多く含む食品はリンも多いので逆効果になってしまいます。
【参考値】
8.4~10.0mg/dL
リン(P)
【解説】
骨や筋肉をつくる大事なミネラルです。ほとんどの食べ物すべてに含まれています。
高値の場合:
関節や血管が石灰化し、心筋梗塞や脳梗塞などが起こります。
低値の場合:
骨を弱くすると考えられています。
【参考値】
一般成人正常値:
3.5~6.0mg/dL
インタクトPTH
【解説】
カルシウムを調節するホルモンです。カルシウムを骨から調達する作用があるため、高値が続くと骨がスカスカになってしまいます。
【参考値】
60~240pg/mL

カルシウムとリンの値は、本来かけ合わせて一定になるように調節されていますが、透析患者様の場合、カルシウムが下がってリンが上がります。そして、カルシウムを調節するホルモン(PTH)が上がります。PTHはカルシウムを骨から調達する作用があるため、骨がスカスカになってしまいます。それを防ぐための薬としてビタミンDが使用されます。ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を増やし、骨を守ります。

(4)貧血・栄養状態に関する検査
赤血球(RBC)
【解説】
酸素を運搬しています。基準値未満だと貧血が疑われます。
【参考値】
一般成人女性正常値:380万~480万個/mm3
一般成人男性正常値:410万~530万個/mm3
血色素ヘモグロビン(Hb)
【解説】
赤血球の成分の一つです。肺で受け取った酸素を全身に供給し、二酸化炭素を肺に運ぶ役割を担っているのがヘモグロビンです。
【参考値】
目標値:週始めの透析前で10~12g/dL
ヘマトクリット(Ht, Hct)
【解説】
一定量の血液中に含まれる赤血球の容積の割合をあらわします。「赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット」の3つの検査データから、赤血球の大きさ、1個の赤血球中のヘモグロビン量や濃度を計測できます。
【参考値】
目標値:30~33% (透析前)
白血球(W,WBC)
【解説】
白血球は、外部から進入してきたウイルスや細菌などの異物を撃退します。
高値の場合:
感染症、胆のう炎、虫垂炎、膵炎などの炎症性の疾患、心筋梗塞、白血病、がん。外傷があるときや、運動直後、ストレスの強いとき。
低値の場合:
ウイルス感染症の初期、再生不良性貧血、膠原病など。
【参考値】
一般成人正常値:4000~9000個/mm3
血小板(PLT)
【解説】
血小板には、血液を凝固させて、出血を止める働きがあります。そのため、血小板の数が減ると、出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなります。5万個/mm3 以下になると鼻血が出たり、歯茎から出血しやすくなりますし、3万個/mm3 以下になると脳出血などを起こす危険性があります。
【参考値】
一般成人正常値:
15万~40万個/mm3
総鉄結合能(TIBC)
【解説】
鉄を運ぶ機能をもつトランスフェリンと、結合できる鉄の総量です。貧血の診断指標として測定されます。
【参考値】
一般成人正常値:290~355μg/dL
フェリチン
【解説】
血液中に含まれるたんぱくの一種です。鉄の貯蔵庫の役割を持ち、からだの中にどのくらい鉄があるか反映します。また、鉄量とは関係なく、がんによっても高値になります。
【参考値】
目標:50~300ng/mL(治療状況により目標値が異なる場合があります)
アルブミン(Alb)
【解説】
たんぱくのひとつです。 栄養状態がわかります。たんぱく質が十分とれ、なおかつエネルギー源として使われずに体の中にしっかりと残っているかをみることができます。
高値の場合:
脱水になります。
低値の場合:
むくみやすくなります。
【参考値】
4g/dL以上

鉄欠乏があるかどうかは、血清鉄、フェリチン、鉄飽和率を総合的にみて判断します。

(5)肝臓に関する検査
AST(GOT※)
【解説】
心筋、肝臓、骨格筋、腎臓などに多く存在する酵素でアミノ酸をつくる働きをしています。これらの臓器の細胞に異変が起こると数値が上がります。 肝臓障害、心筋梗塞、溶血などの診断に有効です。
【参考値】
一般成人正常値:35IU/L以下
ALT(GPT※)
【解説】
肝臓の細胞の中にある酵素です。 肝細胞の変性や壊死に反応するので肝臓・胆道系の病気の診断に有効な検査となっています。
【参考値】
一般成人正常値:35IU/L以下

※従来「GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)」、「GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)」と呼ばれていましたが、生化学者が名前を変えました。GOTは「AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)」に、GPTは「ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)」です。近年国際的な標準になりつつありますが、単に名前が変わっただけで、単位もまったく同じです。

γ-GTP
(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ)
【解説】
肝臓の解毒作用に関係している酵素です。肝臓や胆管の細胞が壊れると数値が上がります。 アルコールによる肝臓障害の指標となっています。
【参考値】
一般成人女性正常値:6~30U/L
一般成人男性正常値:8~50U/L
アルカリホスファターゼ(ALP)
【解説】
主に胆道から出る酵素の一つです。骨や小腸にもあります。
高値の場合:
胆汁の流れが完全に止まり、黄疸が出てくるときに高値になります。 また、胆道や骨の病気のときにも上がります。
【参考値】
一般成人正常値:
115~359U/L
(透析患者様は骨代謝異常のため、一般的に高くなります。)
HBs抗原
【解説】
B型肝炎ウイルス(HBV)に現在感染しているか、過去に感染したことがあるかの判断の指標となります。
【参考値】
陰性:
8倍未満(MAT法)
0.05 IU/mL未満
(CLIA法)
HCV抗体
【解説】
C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかがわかります。
【参考値】
陰性:1.0未満
陽性:1.0以上(COI)
(6)そのほかの検査
β2-ミクログロブリン
(β2-MG)
【解説】
腎臓で除去されるたんぱくの一つ。透析では除去しにくいため、長期透析で高値になりがちです。透析アミロイドーシスの原因物質で、脊椎に沈着すると固まって動かなくなったり、手の関節に沈着すると手根管症候群になったりします。心臓に沈着すると心臓の筋肉が縮みにくくなり、腸や胃に沈着すると胃腸障害を引き起こします。 できるだけ低値を保つように透析治療を行います。
【参考値】
一般成人正常値:31.5~100μg以下
血糖値
【解説】
糖尿病患者様は定期的に測定します。食事療法やインスリンなどの薬物療法が適切かをみます。
【参考値】
一般成人正常値:80~100mg/dL
総コレステロール
(T-Cho)
【解説】
細胞の壁をつくったり、ホルモンをつくったりするのに必要な物質です。栄養状態に関係しています。
高値の場合:
食べすぎが原因と考えられます。正常に抑えて運動などで消費すれば回復するでしょう。
低値の場合:
栄養状態がいま一つだと考えられます。食生活を見直しましょう。
【参考値】
一般成人正常値:130~200mg/dL
心胸比
(CTR)
【解説】
胸の両脇と心臓の大きさとの比です。適正な体重が保たれているかをみています。 個人差があるので絶対値ではなく、以前と比べてどうかということが重要です。水分や塩分をとりすぎると、体重が増加して血圧が上昇し、心胸比が増大します。
【参考値】
女性:55%
男性:50%

【ドライウェイトについて】
透析患者様が水分管理する時に目標とする体重のことを、ドライウェイトと言います。これは、過剰な水分をとり除いた時の適正体重です。血圧・心胸比・むくみ・透析後の症状などにより決まるので、太ったりやせたりするたびに変わります。