【2022年度版】臨床工学技士指南|透析 シャントの維持方法
2022 / 01 / 04 技士通信
目次
②「瘤」を形成しやすい
瘤が出来る主な要因は、以下の2パターンが考えられます。
①シャント血管では、静脈の中を大量の動脈血が流れます。静脈は動脈よりも強度が低いので、人体はそれに適応しようと動脈血の勢いを抑えようとします。
どうするかと言うと、本来血管は真っ直ぐ走行しますが、上の写真の様に血管を蛇行させて血液の勢いを抑えようとします。そして蛇行している場所では血流がせき止められることによって、血管がこぶ状に盛り上がる瘤になりやすいと考えられます。
こちらは、シャントがあることによる避けようのない瘤と言えます。
②問題は穿刺による瘤です。これは、透析を受けられる皆さんではなく、私たち穿刺を行う透析スタッフが注意しなければならないものです。
広い範囲を穿刺する場合は問題ありませんが、1か所に集中すると、血管が狭くなるリスクに加えて、血管の壁が脆くなり瘤が形成されやすくなります。
止血について
①皮膚の針穴と血管の傷穴は同じ位置ではない
針を刺してから、血管に針が到達するまでの距離は、針の角度や皮膚からの血管の深さによって違います。針を寝かせて刺せば、皮膚の穴と血管の傷穴との距離は遠く、針を立たせて刺せば近くなります。血管は皮膚から深くなるほど、皮膚の穴と距離が遠く、浅くなるほど近くなります。
したがって、止血する位置は血管の深さや針を刺す角度によって違うのです。
少なくとも、皮膚の穴よりは少し上を押さえないと、血管の傷穴を押さえられないとお考えください。
②止血は、血液が漏れないギリギリの強さで
止血をするためには、血液の流れに乗って細胞が傷口に集まって、修復作業を行わなければなりません。ところが、止血が強すぎると血流が遮断されて傷口に細胞が集まって来れません。また、止血が強いまま長い時間押さえていると、血液の流れが悪くなり血管が狭くなる原因になります。
したがって、止血は血液の流れを止めないように、血液が漏れない丁度良い強さで押さえましょう。