【透析治療中の食事】大切なポイントとオススメレシピのご紹介。

正しく食事をとりましょう!

食事に悩む透析治療中の患者さんのイラスト

「体重増加量が多くなっているから、食事を制限しないと」「リンの数値が高いから、 お肉やお魚は減らさないと」というように検査の結果が悪くなると、このような考えになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
制限ばかりを気をつける以前にきちんと自分自身の適正量を知り、その分だけ食事をとる必要があります。

エネルギーの適正値を知りましょう!

エネルギー摂取不足になると、体の筋肉などの蛋白質を燃やしてエネルギーにしようとします。
そうすると筋肉が減少、体重も減ってしまうので疲労感や脱力感が現れてきます。
なので、どのくらいエネルギーが必要か、しっかり把握することが重要です。

あなたの必要エネルギー量! どのくらい?

透析治療を受けている患者さんのエネルギー摂取量の基準値は、
標準体重(身長(m)×身長(m)×22)あたり30~35kcal/日と定められています。
例えば、計算上では身長160cmの人であれば、標準体重は56.3㎏になりますので、
56.3㎏×30~35kcal = 1689~1971kcal
1日に約1700kcal~2000kcalのエネルギー摂取が必要ということになります。


しかし、必要なエネルギー量は性別や年齢、合併症、身体活動量などにより異なるため、個人差があります。よって、基本的には適正体重(ドライウェイト)の変化を観察して、体重が減っていたり増えていたりするようであれば、必要に応じて食事内容を調節するようにしましょう。

エネルギー摂取量を増やすための工夫!

エネルギー摂取量を増やすための工夫図

調理法を工夫することで、食事のエネルギー量を簡単に増やすことができます。 ゆでる、蒸す、煮るという調理法よりも、油を使って揚げる、炒める、焼く方が、 エネルギーアップしやすくなります。

高齢患者さんは1回の食事量が少なくなる傾向にあり、栄養不足になりやすいです。
どうしても食欲がなくて食べられないときなどは、栄養補助食品などを摂取することもよいでしょう。飲料タイプやゼリータイプのものなどがあります。

たんぱく質の適正値を知りましょう!

透析を導入すると、不要物と一緒にたんぱく質も一緒に失われます。腎不全保存期と同様のたんぱく制限をしていると、身体に必要なたんぱく質が足りなくなり低栄養や貧血、むくみが生じやすくなり、身体機能の低下につながってしまいます。そのため腎不全保存期よりもたんぱく質の摂取基準量が増加します。

あなたの必要たんぱく質量! どのくらい?

透析治療を受けている患者さんの蛋白質摂取量の基準値は、
標準体重(身長(m)×身長(m)×22)あたり0.9~1.2g/日と定められています。
エネルギーの計算方法と同じで、身長160cm 標準体重56.3㎏の方は、
56.3㎏×0.9~1.2g= 50.1~67.6
1日に約50~70gの蛋白質摂取が必要ということになります。

たんぱく質の上手な摂り方!

◆ 必須アミノ酸がバランスよく含まれている良質のたんぱく質源をとりましょう!
必須アミノ酸が含まれている食品イラスト

肉、魚、卵、豆製品、乳製品など
ただし …
・生鮮食品を選び、加工食品は控えめにしましょう。
・乳製品はリン含有量が多いので摂取量に注意しましょう。

◆ 朝、昼、夕の3食に分けて摂りましょう!

肉、魚、卵、豆製品、乳製品など
1食にまとめて摂取すると、たんぱく質の吸収率が下がります。
できるだけ3食に分けてとりましょう。


◆ 肉・魚は1食に手のひらサイズを目安にしましょう!
たんぱく質食品には、カリウム・リンも含まれるため、摂りすぎには注意しましょう。

☆ おすすめ簡単レシピのご紹介 ☆

豚しゃぶサラダ

透析食_豚しゃぶ_写真
★ 材料(1人分)
豚肩ロース肉 40g(薄切り)
大根 30g
水菜 10g
●マヨネーズ 12g(大さじ1)
●白すりごま 1g(小さじ1/3強)
●減塩しょうゆ 2g(小さじ1/3)
●味噌 2g(小さじ1/3)

★作り方
①豚肉は一口大に切り、ゆでて水にさらして冷まし水気をきる。
②大根はせん切りにし、水菜は適当な長さに切り、それぞれ水に30分さらす。
③●の調味料を合わせ、ドレッシングをつくる。
④水気をよくきった野菜の上に、①の豚肉をのせ③のドレッシングをかける。

★栄養価
エネルギー 193kcal
たんぱく質 8.0g
カリウム 256mg
リン 90mg
塩分 0.6g