全身性の病気による腎臓病・遺伝性の病気

全身性の病気による腎臓病は、「糖尿病性腎症」「ループス腎炎」「腎硬化症」「痛風腎」などです。また、遺伝性の病気として「多発性のう胞腎」があります。

糖尿病性腎症

糖尿病の3大合併症の一つで、増加傾向にあります。また、透析の導入に至る原因疾患の第一位です。糖尿病性腎症の治療は、血糖のコントロールが一番重要です。初期の段階では、糖尿病の治療と血糖の管理をしっかり行えば腎症が治ることもあります。

治療方法

糖尿病の食事療法に加え、慢性腎不全の食事療法が必要になります。しかしこの2つは互いに矛盾する部分もあることから、しっかり理解することが重要です。医療法人社団 厚済会では患者様の症状に合わせて指導を行います。薬物療法では、利尿薬や降圧薬を使用します。
≫糖尿病についての詳細はこちら

ループス腎炎

膠原病(こうげんびょう)の一つである全身性エリテマトーデス(SLE)による腎炎です。微熱や倦怠感などの全身性エリテマトーデスの症状のほか、たんぱく尿、血尿、むくみなどがあらわれ、ネフローゼ症候群や急速進行性糸球体腎炎などがあらわれることもあります。さらに進行すると末期腎不全になることもあります。

治療方法

基本的にはステロイド薬を中心とした薬物療法を行います。透析を導入すると全身性エリテマトーデスの症状がなくなることもあります。

腎硬化症

高血圧による腎臓の障害です。血圧のコントロールができないと腎臓が次第に硬く小さくなり、腎機能が低下していきます。

治療方法

食塩の摂取量を抑え、降圧薬による治療を行います。血圧のコントロールが非常に重要です。
≫高血圧についての詳細はこちら

痛風腎

痛風は生活習慣の乱れなどにより、血中の尿酸が増え高尿酸血症になる病気です。尿酸の結晶が腎臓の中に沈着して、腎機能が低下するのが痛風腎です。結石ができやすく尿管が傷付き腹部や背中が激しく痛んだり、場合によっては血尿が出たりすることもあります。放置すると末期腎不全に至ることもあります。

治療方法

プリン体を多く含む食品(いわし、あじ、かつお、えび、レバー類、白子など)を避けるなどの食事療法に加え、尿酸の排泄を増やす薬や、尿酸の合成を阻害する薬を使用します。

多発性のう胞腎(遺伝性の病気)

両側の腎臓にのう胞(水がたまった袋)がたくさんでき、腎機能が低下し、末期腎不全に至る遺伝性の腎臓病です。初期は自覚症状はなく、進行すると食欲低下、疲れやすさ、だるさ、夜間多尿、息切れなどがあらわれます。

治療方法

根本的な治療法はまだありませんが、病状を緩和させる薬が見つかりつつあります。

尿毒症とは

腎臓の働きが正常時の10%以下になると(腎不全の末期)全身にさまざまな症状があらわれ、尿毒症という状態になります。尿毒症は、頭痛・イライラ感・めまい・手足のしびれ・皮膚のかゆみ・むくみ・食欲不振・胃炎・出血しやすくなる・高血圧・心不全・呼吸困難など多様な症状が集合した状態です。このような症状を改善するためには透析治療が必要になります。

一度悪くなった腎臓を元の状態に戻すことは、現在の医学では残念ながらできません。しかし病気の進行を遅らせ、透析の導入を少しでも遅くすることは可能です。定期的に検査を受け、状態をチェックすることと、生活習慣の改善・食事療法が重要です。