腎臓病の検査

腎臓の機能を調べるために一般的に行われているのは尿検査と血液検査です。

尿検査

一般的な健康診断でも行う検査です。尿の中にたんぱく質や赤血球が含まれているかどうかを調べます。発熱や激しい運動などの影響によりこれらが尿中に含まれる場合もあるので、2~3回繰り返し検査を行って確認します。

血液検査

クレアチニンという筋肉の代謝産物の数値から腎臓の働きを推定することができます。クレアチニンは腎臓の糸球体でろ過され、尿中に排出されていますが、腎臓の機能が低下すると尿中に排泄される量が減り、血液中に溜まってきます。

クレアチニン値からおよその糸球体濾過量(GFR)を計算することができます。GFRとは、糸球体が1分間にどれくらいの血液をろ過して尿をつくることができるかを示す値です。健康な人では100mL/分/1.73m2前後で、60mL/分/1.73m2未満が持続すると慢性腎臓病と診断されます。さらにGFR値が下がると、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患や、末期腎不全の危険が高まります。

病気ステージ 重症度の説明 GFR値(ml/min/1.73㎡)
1 腎障害は存在するが、
GFRは正常または亢進
≧90
2 腎障害は存在し、
GFR経度低下
60~89
3a 軽度~中等度 45~59
3b 中等度~高度 30~44
4 GFR高度低下 15~29
5 腎不全 <15

腎臓病と診断されたら

腎臓病と診断されたら、病気を進行させないためにもまず生活習慣の改善が必要です。肥満の改善や減塩、規則正しい食事、禁煙などを心がけましょう。高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある人は、医療機関を受診してきちんと治療をしておくことが大切です。


食事について

食事療法はできるだけ早い時期から始めることが効果的です。原因となった病気や合併症、年齢などにより食事療法の内容が異なるため、主治医や栄養士から指導を受けることが必要です。一般的な目安としては以下に気を付けましょう。

たんぱく質の制限

たんぱく質のとりすぎは、血液中の老廃物を増やし、腎臓に重い負担をかけます。食事中のたんぱく質を必要最低限に減らすことが必要です。

【腎臓病患者のたんぱく質摂取量の目安】
腎臓病の病気ステージが3b以上の場合、1日の摂取量は体重1kgあたり0.6~0.8gです。現在の日本では、1日のたんぱく質摂取量は平均で70~80gと言われています。通常の2分の1程度にまで減らすことになるので、個人の状態に合わせて栄養不良にならないよう十分な指導を受けることが重要です。低たんぱく食品などを上手に利用することも工夫の一つです。

体重50kg:30~40g/日
体重60kg:36~48g/日

甘いものにも注意

和菓子や洋菓子など甘いものにも注意が必要です。小豆や牛乳、卵が使われているため、意外とたんぱく質が多く含まれています。例えば、ショートケーキひとつには卵約1個分のたんぱく質が含まれています。

十分なエネルギーの摂取

たんぱく質を制限しているとエネルギー源(熱量)が少なくなり、体重が減りやすい傾向になります。また、エネルギーが不足すると体内のたんぱく質がエネルギー源として燃焼されるので尿素や窒素などの老廃物が増え、腎臓に負担がかかることになります。

1日の必要エネルギー量の目安は体重1kg当たり35~40kcalです。たんぱく質を減らした分、糖分や脂質を十分に摂取することが重要です。ただし、糖尿病など原因疾患によってはエネルギーをとりすぎてもいけません。医師や栄養士と相談の上、1日の必要エネルギー量を決めましょう。

塩分の制限

日本人の塩分の摂取量は1日平均11~12gと多めです。腎臓が悪くない場合でも塩分の摂取量を減らすことをおすすめします。むくみや高血圧のある場合には特に気を付ける必要があります。塩分の摂取は1日3~6gに抑えましょう。

リン・水分の制限

リンの値が高い場合、むくみ、腹水などがみられた場合は制限が必要になります。医師の判断に従ってください。