腎臓病について知ろう

腎臓病とは腎臓のはたらきが低下する病気です。腎臓病には、遺伝性の病気や感染症による病気、生活習慣病による病気など、さまざまな種類があります。病気が進行し、末期になるとからだに老廃物が溜まってしまい尿毒症という状態になり、透析治療が必要となります。

腎臓病はあまり自覚症状がないため、気付かないうちに徐々に進行してしまいがちです。定期的に尿や血液の検査を受けることが重要です。

腎臓病の種類

腎臓病には、腎臓自体に起こる病気、全身性の病気により腎臓が悪くなる病気、生まれた時から腎臓に異常がある遺伝性の病気などさまざまな種類があります。

また、最近では今までの分類にはとらわれず、慢性に進行する腎障害を総称して慢性腎臓病(CKD)と呼ぶようになっています。患者さんは1,330万人(20歳以上の成人の8人に1人)いる*と考えられ、新たな国民病とも言われています。腎臓の病気は尿や血液の検査で比較的簡単に見つけることができますので、定期的に検査を受け早期発見・早期治療をすることが重要です。
*エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018(社団法人 日本腎臓学会 編)より
(エビデンス=科学的根拠)

腎臓自体に起こる病気

腎臓自体に起こる主な病気は、「急性糸球体腎炎」「急速進行性糸球体腎炎」「原発性ネフローゼ症候群」「慢性糸球体腎炎」などです。

急性糸球体腎炎

扁桃腺炎や風邪などの感染症にかかった後、10日から3週間経って血尿やたんぱく尿、むくみ、高血圧、腎機能の低下などの症状が突然あらわれます。一般的には3~6ヶ月くらいで治りますが、急速に進行したり慢性化したりする場合もあります。

治療方法

塩分やたんぱく質の制限を中心とした食事療法や、利尿薬、抗菌薬、血圧を抑える薬など病状に合わせた治療を行います。

急速進行性糸球体腎炎

急激に血尿、たんぱく尿、腎機能の低下があらわれ、数週から数ヶ月で急速に進行し、尿毒症(末期腎不全)に至ります。

治療方法

塩分やたんぱく質の制限を中心とした食事療法や、副腎皮質ホルモン製剤と免疫抑制薬、抗血小板薬、抗凝固薬などを組み合わせて治療します。

原発性ネフローゼ症候群

大量のたんぱく尿、血液中のたんぱくが減少する低たんぱく血症、高脂血症、むくみがあらわれます。

治療方法

食事療法(塩分制限)、ステロイド薬、免疫抑制薬などによる治療を行います。

慢性糸球体腎炎

慢性腎臓病をご参照ください。

慢性腎臓病(CKD)

腎臓病の初期にはほとんど自覚症状がなく、貧血、疲労感、むくみなどの症状があらわれたときには、病気がかなり進行している可能性があります。そこで、自覚症状のない段階で早期発見し、早めに治療を開始することで、末期腎不全への進行と心血管疾患を防ぐことを目的に慢性腎臓病という考え方が生まれました。

慢性腎臓病とは、腎臓の働きが健康な人の60%以下の状態や、腎機能は悪くなくても尿異常(たんぱく尿・血尿)が3ヶ月以上続くことを言います。

慢性腎臓病は放置すると徐々に腎機能が低下し、透析が必要な末期腎不全になる可能性が高まります。また、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の危険性も高めることがわかってきています。

慢性腎臓病は尿検査や血液検査で比較的簡単に見つけることができますので、定期的に検査を受けるようにしましょう。また、慢性腎臓病と診断されたら生活習慣と食事の内容に気を付け、病気の進行を防ぐことが大切です。