検査データの見方 〜詳細〜
(1)透析効率をみる検査

充分な透析を受けられているかどうかをみています。

項目 解説 参考値

尿素窒素
(BUN)

たんぱく質がエネルギーとして体内で燃やされたあとに残るカスです。 透析前: 80mg/dL以下
透析後: 30mg/dL以下
高値の場合:
透析時間の不足、シャントの状態が悪く血液流量が少ない。たんぱく質の過剰摂取など。
(個人差もあるため目標とする値は医師とよく相談してください)
低値の場合:
たんぱく質の摂取不足。
 
  注意したいこと:
尿素窒素の数値が上がり、なおかつ筋肉が落ちたり、やせてきた場合は、食事が充分でないために筋肉を構成しているたんぱく質がエネルギー源として使われていることが考えられます。体の中のたんぱく質は本来新しい細胞(体の部品)をつくるために必要なので、食事からしっかり栄養を摂ることが重要です。

クレアチニン 
(CRE)

筋肉の代謝産物です。 筋肉の豊富な方ほど高く、体格や運動量による個人差があるので、自分の基準値を知っておくことが大切です。食事には関与しないため、透析効率をみる為の良い指標になります。
透析後:
透析前の半分位
個人差があります。

尿酸
(UA)


尿酸はプリン体が分解してできた老廃物です。透析効率をみるために補助的に使用されます。 一般成人正常値:
6mg/dL以下
高値の場合:
痛風の原因となります。 腎臓の病気、白血病、降圧剤などの影響。 プリン体を多く含む食品・牛乳や牛肉の過剰摂取。 慢性的に高いと、動脈硬化を起こす危険性があります。
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(2)電解質に関する検査

主に体液のイオンバランスをみています。

項目 解説 参考値

ナトリウム 
(Na)

体液の浸透圧を保ったり筋肉や神経の働きにも関係しています。腎臓が悪くなるとナトリウムを排泄できなくなり、数値があがってきます。 一般成人正常値:
135〜150mEq/L
高値の場合:
塩分の摂りすぎ、または脱水。脱水は水分が抜けてナトリウムだけが残っている状態です。
  低値の場合:
食事を摂れない。水の摂りすぎ。
 

クロール 
(CL)

主にNaCl(食塩)として摂取され、体液のバランス維持の役割を果たしています。 血液が酸性に傾くと上昇します。 一般成人正常値:
98〜108mEq/L
高値の場合:
嘔吐・下痢などで大量の水分を失った場合。食塩の摂りすぎなど。
  低値の場合:
水分の過剰摂取や食塩の摂取不足など。
 

カリウム 
(K)

ナトリウムの排泄を促す働きがあります。細胞の中にも、もともと含まれています。 透析前の目標値:
5.5mEq/L以下
透析後の目標値:
3〜3.5mEq/L
高値の場合:
野菜や果物などカリウムの摂りすぎ。透析不足。
細胞がこわれた場合や薬剤によっても上がることがあります。
低値の場合:
たんぱく質の摂取不足。
 
注意したいこと:
7.5〜8mEq/L以上になるとと死に至る不整脈をおこすことがあり、大変危険です。食生活に注意しましょう。
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(3)骨代謝異常に関する検査
項目 解説 目標値(透析前)

カルシウム 
(Ca)

骨のもとになる物質です。低い状態が続くと骨がもろくなり、高い状態が続くと骨以外のところにカルシウムの沈着がおこります。 8.4〜10.0mg/dL
注意したいこと:
カルシウムは検査データにより、薬剤で適正な値にコントロールする必要があります。自己判断でカルシウムの多い食べ物やサプリメントなどを摂るのは避けてください。カルシウムを多く含む食品はリンも多いので逆効果になってしまいます。

リン
(P)

骨や筋肉を作る大事なミネラルです。ほとんどの食べ物すべてに含まれています。 3.5〜6.0mg/dL
高値の場合:
関節や血管に石灰化がおこり、心筋梗塞や脳梗塞などがおこります。
  低値の場合:
骨を弱くすると考えられています。
 

インタクトPTH 

カルシウムを調節するホルモンです。カルシウムを骨から調達する作用があるため、高値が続くと骨がすかすかになってしまいます。 カルシウムとリンの代謝に関する各臓器の機能をみる指標となります。 60〜180pg/mL

カルシウムとリンの値は、本来掛け合わせて一定になるように調節されていますが、透析患者さんでは、カルシウムが下がってリンが上がります。そして、カルシウムを調節するホルモン(PTH)が上がります。
PTHはカルシウムを骨から調達する作用があるため、骨がすかすかになってしまいます。それを防ぐための薬としてビタミンDが使用されます。ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を増やし、骨を守ります。

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(4)貧血、栄養状態に関する検査
項目 解説 参考値

赤血球 
(RBC)

酸素を運搬しています。基準値未満だと貧血が疑われます。 一般成人女性正常値: 
380万〜480万個/mm3   一般成人男性正常値: 
410万〜530万個/mm3

血色素ヘモグロビン
(Hb)

赤血球の成分の一つです。肺で受け取った酸素を全身に供給し、二酸化炭素を肺に運ぶ役割を担っているのがヘモグロビンです。 目標値:
週始めの透析前で
10〜11g/dL
(活動性の高い若年層で11〜12g/dL)

ヘマトクリット 
(Ht, Hct)

一定量の血液中に含まれる赤血球の容積の割合を表します。「赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット」の3つの検査データから、赤血球の大きさ、1個の赤血球中のヘモグロビン量や濃度を計測できます。 目標値:  
30〜33% (透析前)

白血球 
(W,WBC)

白血球は、外部から進入してきたウイルスや細菌などの異物を撃退します。 一般成人正常値: 
4000〜9000個/mm3
高値の場合:
感染症、胆のう炎、虫垂炎、膵炎などの炎症性の疾患、心筋梗塞、白血病、がん。外傷があるときや、運動直後、ストレスの強いとき。
  低値の場合:
ウイルス感染症の初期、再生不良性貧血、膠原病など。
 

血小板 
(PLT)

血小板には、血液を凝固させて、出血を止める働きがあります。そのため、血小板の数が減ると、出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなります。5万個/mm3 以下になると鼻血が出たり、歯茎から出血しやすくなりますし、3万個/mm3 以下になると脳出血などを起こす危険性があります。 一般成人正常値: 
15万〜40万個/mm3

総鉄結合能
(TIBC) 

鉄を運ぶ機能をもつトランスフェリンと、結合できる鉄の総量です。貧血の診断指標として測定されます。 一般成人正常値: 
290〜355μg/dL

フェリチン

血液中に含まれるたんぱくの一種です。鉄の貯蔵庫の役割を持ち、体の中にどの位鉄があるか反映します。 また、鉄量とは関係なく、癌によっても高値になります。 一般成人女性正常値: 5〜120ng/mL
一般成人男性正常値: 20〜250ng/mL

アルブミン
(Alb) 

たんぱくのひとつです。 栄養状態がわかります。たんぱく質が充分摂れ、なおかつエネルギー源として使われずに体の中にしっかりと残っているかをみることができます。 4g/dL以上
高値の場合:
脱水になります。
低値の場合:
むくみやすくなります。

鉄欠乏があるかどうかは、血清鉄、フェリチン、鉄飽和率を総合的にみて判断します。

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(5)肝臓に関する検査
項目 解説 参考値

AST  
(GOT)

心筋、肝臓、骨格筋、腎臓などに多く存在する酵素でアミノ酸をつくる働きをしています。これらの臓器の細胞に異変が起こると数値が上がります。 肝臓障害、心筋梗塞、溶血などの診断に有効です。 一般成人正常値: 
35IU/L以下

ALT
(GPT) 

肝臓の細胞の中にある酵素です。 肝細胞の変性や壊死に反応するので肝臓・胆道系の病気の診断に有効な検査となっています。 一般成人正常値: 
35IU/L以下

※従来「GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)」、「GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)」と呼ばれていましたが、生化学者が名前をかえました。GOTは「AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)」に、GPTは「ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)」です。近年国際的な標準になりつつありますが、単に名前が変わっただけで、単位もまったく同じです。

γ-GTP 
(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ)

肝臓の解毒作用に関係している酵素です。肝臓や胆管の細胞がこわれると数値があがります。 アルコールによる肝臓障害の指標となっています。 一般成人女性正常値:6〜30U/L
一般成人男性正常値:8〜50U/L  

アルカリホスファターゼ
 (ALP) 

主に胆道から出る酵素の一つです。骨や小腸にもあります。 一般成人正常値:
115〜359U/L
高値の場合:
胆汁の流れが完全に止まり、黄疸が出てくるときに高値になります。 また、胆道や骨の病気のときにも上がります。
 

HBs抗原 

B型肝炎ウイルス(HBV)に現在感染しているか、過去に感染したことがあるかの判断の指標となります。 陰性: 
8倍未満(MAT法)
0.05 IU/mL未満
(CLIA法)

HCV抗体

C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかがわかります。 陰性:1.0未満 
陽性:1.0以上(COI)
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(6)甲状腺に関する検査

甲状腺とは気管の前部、のどのあたりに位置する、ホルモンを分泌する器官です。

項目 解説 一般成人正常値

甲状腺刺激ホルモン 
(TSH) 

TSHは甲状腺ホルモンの分泌を調節しています。 0.50〜4.00μU/mL
高値の場合:
甲状腺機能低下症、TSH産生腫瘍などの疑いがあります。
低値の場合:
バセドウ病といった甲状腺機能亢進症の疑いがあります。
 

トリヨードサイロニン
(FT3)

甲状腺ホルモンのひとつで、TSH(甲状腺刺激ホルモン)の刺激を受けて甲状腺から分泌されます。 2.30〜4.30pg/mL
高値の場合:
バセドウ病、TSH産生腫瘍、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎などの疑いがあります。
  低値の場合:
甲状腺機能低下症(橋本病、特発性粘液水腫)の疑いがあります。
 

サイロキシン 
(FT4) 

甲状腺ホルモンのひとつで、FT3、TSHとともに測定し、甲状腺機能の評価を行っています。 0.90〜1.70ng/dL
高値の場合:
バセドウ病、TSH産生腫瘍、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎などの疑いがあります。
低値の場合:
甲状腺機能低下症(橋本病、特発性粘液水腫)、ネフローゼ症候群、肝硬変などの疑いがあります。
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(7)その他の検査
項目 解説 参考値

β2-ミクログロブリン 
(β2−MG) 

腎臓で除去されるたんぱくのひとつ。透析では除去しにくいため、長期透析で高値になりがちです。透析アミロイドーシスの原因物質で、脊椎に沈着すると固まって動かなくなったり、手の関節に沈着すると手根管症候群になります。心臓に沈着すると心臓の筋肉が縮みにくくなり、腸や胃に沈着すると胃腸障害を引き起こします。 できるだけ低値を保つように透析治療を行います。 一般成人正常値:
31.5〜100μg以下

血糖値

糖尿病のある患者さんは定期的に測定します。食事療法やインスリンなどの薬物療法が適切かをみます。 一般成人正常値:
80〜100mg/dL

総コレステロール
(T-Cho)

細胞の壁を作ったり、ホルモンをつくったりするのに必要な物質です。栄養状態に関係しています。 一般成人正常値:
130〜200mg/dL
高値の場合:
食べすぎが原因と考えられます。正常に抑えて運動などで消費すれば回復するでしょう。
  低値の場合:
栄養状態がいまひとつと考えられます。食生活を見直しましょう。
 

心胸比
(CTR) 

胸の両脇と心臓の大きさとの比です。適正な体重が保たれているかをみています。 個人差があるので絶対値ではなく、以前と比べてどうかということが重要です。
水分や塩分を摂りすぎると、体重が増加して血圧が上昇し、心胸比が増大します。
女性:55%
男性:50%

【ドライウェイトについて】
透析透析患者さんが水分管理する時に目標とする体重のことを、ドライウェイトといいます。これは、過剰な水分を取り除いた時の適正体重です。血圧・心胸比・むくみ・透析後の症状などにより決まるので、太ったりやせたりするたびに変わります。

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